魯迅『故郷』の"紫色的圆脸(紫色の丸顔)"が指すものとは?

皆様はご記憶だろうか?中学校の国語の教科書に魯迅の小説『故郷』が載っていたことを。

この作品のうち、主人公が閏土との思い出を振り返る場面が《少年闰土》というタイトルで中国の小学校6年生の国語の教科書に取り上げられている。

以下は主人公が初めて閏土と出会う場面なのだが
  我于是日日盼望新年,新年到,闰土也就到了。好容易到了年末,有一日,母亲告诉我,闰土来了,我便飞跑的去看。他正在厨房里,紫色的圆脸,头戴一顶小毡帽,颈上套一个明晃晃的银项圈,这可见他的父亲十分爱他,怕他死去,所以在神佛面前许下愿心,用圈子将他套住了。他见人很怕羞,只是不怕我,没有旁人的时候,便和我说话,于是不到半日,我们便熟识了。

この“紫色的圆脸”という表現。
日本人からすると理解しにくい表現ではないだろうか。

紫色的圆脸ってどういう意味?

直訳すれば「紫色の丸顔」。
(教科書に採用されている竹内好訳では「つやのいい丸顔」と意訳されている。)

文脈からポジティブな意味で使われていることは推測できる。
ただ、顔が紫色と言われると私は、ボコボコに殴られて腫れあがったか、あるいは寒さなどで血色が悪くなったか…
なんだったら死斑を思い浮かべてしまうのはミステリー脳だからか。

とにかくネガティブなイメージを抱いてしまう。
私自身も小さいころからひどい冷え性で、プールの授業では唇が紫色になって「(ちびまる子ちゃんの)藤木君やん」と同級生にからかわれたものだ。

そんなわけなので紫色的圆脸には強烈な違和感を覚えたのだが、中国語ネイティブにとっては違うらしい。

紫色に関する認識の違い

中国語の先生が言うには、顔色に関して紫色だというときはほとんど赤に近い赤紫色を指すそうだ。
例えば、子どもが寒い日に外で遊ぶと頬が上気して赤くなる。
この顔に熱がこもった状態を、日本語では赤色で表現するが、中国語では紫色を用いるというわけだ。

なので紫色的圆脸といえば、活発で健康的な子どものイメージを示していることになる。

日本人にとっては不思議に思える紫色的圆脸という表現には、色彩認識への違いがあったというわけだ。
ちなみに、中国語で顔色が悪いことを形容する場合は「青」色を用いるそうだ。これは日本語も一緒。
色に対する感覚や表現が日中で全く違うかと思えば共通だったりもする。こういう文化の違いを知るのは面白い。




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